田端の「税理士へのきっかけ」シリーズ、第2弾である。
 
とある、地域の税務署で不動産所得の税務調査をした時のことである。
数年前にアパート・ハイツを相続し、今回初めての調査である。
物件数は、5棟でなかなかの規模である。
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田端  :「こんにちは、●●税務署の田端と申します」
納税者:「ああ、どうも。どうぞ、、、」
 
半時間ほど、世間話をし相続の際の話や現在の状況に話題が自然と変わっていった。
田端  :「物件数、かなりたくさんありますよね」
納税者:「はい、全部で約80室あります」
田端  :「だいたい、今日現在の入居率はどれぐらいですか?」
納税者:「そうですね、、、新しい物件はほぼ埋まってますが、
      古い物件は、7割前後だと思います」
     「駅前に新しい物件が出来てからは、なかなか埋まらないようになりました。」
田端  :「そうですか」
 
と、調査は順調に進んでいった。
収入に関しては、デベロッパーが管理をしてくれているようで
計上漏れはないようであり、経費に関しても修繕費か資本的支出か?
といったところの取り扱いが微妙であるぐらいであった。

調査もいよいよ終盤。

 

特に問題がなさそうなので、もう少し概況等を

 

詳細に聞き取り、次回の調査の参考となる情報の入手をすることにした。

 

無論、税務調査にくることが無意味であると思われた

 

ため、誤って調査の対象とならないように前向きな情報収集である。

 

 

 

田端 :「借入金利息が相当な額になってますが

 

     今の段階でどれぐらいの借入残高がありますか?」

 

 

 

 

納税者の顔が急に曇った。

 

 

 

 

納税者:「約1億5千万円程あります。。。」

 

 

返済計画表を拝見し、毎月の返済額や支払利息額を控えさせてもらった。

 

 

田端 :「相続財産も多額ですが、借入金も多額ですね。。」

 

 

と、そこから借入金に関して色々と話を聞かせてもらううちに

 

 

この納税者の悩みの一つにたどり着いた、、、

 

 

 

どうやら、先代は所有していた田畑に「相続税対策」として

 

賃貸マンションを何棟も建て、相続税対策を行ったらしい。

 

しかも、その話は税理士から「相続対策」として持ちかけられたとのこと。

 

 

確かに、「相続対策」として貸家建付地とすることや、

 

負の財産をつくることは有効であるが、相続後がどうなるか

 

を入念にシミュレーションし、判断すべきではないか、と田端は思った。

 

無論、その税理士は「良かれ」と思って勧めたのであろうが。。。

 

相続人がその税理士と顧問契約をしていないことが何となく理解できた様な気がした。。

 

借入金の返済はまだまだ続くが、既に物件の収益力に陰りが見え初めている。。。

 

納税者の冴えない表情の原因が少しわかったような気がした。。。