「調査選定について」であるが、今回はまず「高額悪質」重視の選定に関して説明をしてみたいと思う。

「高額悪質」とは

・「高額」=(少々誤解があるが)同業種の中で売上規模の大きい納税者

・「悪質」=(少々誤解があるが)脱税等の不正行為を行っている可能性が高い納税者

もう少し噛み砕いて説明すると、、、

高額=売上が多い=儲かっている=ごまかしたくなるという図式が、かなりの確率で成り立つからである。

売上が思うように上がらず、(融資などの都合上)粉飾気味でも売上を大きく見せたいというところは、

「売上除外」という行為には走らない。

やはり、売上を「除外」したいという思いが出る場面は、「儲かって」いる場面であるので、

「高額」ということが選定対象の要素のひとつとなる。

 

もちろん前回に記載したが、選定とは色々な要素が複雑に絡み合い様々な検討を重ねた結果で調査対象者を

選定するので、「高額」=即調査という訳では全くない。

 

また、「悪質」についてであるが、

過去の調査などで「不正」を把握した納税者や、そのグループ企業、 

また「資料」などで「不正」が想定される納税者である。

こちらについては多くの説明を要しないと思う。

かくして、「高額」+「悪質」である納税者はかなりの確率で調査対象者に選定されるのである。

 

ただし、、、

では、売上が少なければ調査に来ないのか?

ならば、、、

と、「売上」「仕入」「経費」全てを圧縮し、利益を圧縮する納税者がいる。

答えは、、、

「NO」である。

 

資料調査課や特調班のお世話になることになるであろう。

 

なぜか?、、、

「本当に利益を圧縮するには、規模を偽るのが一番」なのである。

したがって、「高額・悪質」を検討する前にまず、「規模」を圧縮していないかの検証が行われるのである。

くどい様であるが、選定とは様々な要素を多角的かつ総合的に判断して行われるものであるので、

売上が多ければ「来る」少なければ「来ない」という議論は無意味に等しいのである。

さて、次に資料情報が選定の際にどう使われるのかに関して触れてみたいと思う。

資料情報とは、調査の際に

・売上が正しく計上されているか

・費用が正しく計上されているか

を知るための資料というものが一般的であるが

・どんな資産を取得(もしくは譲渡)したか

・どこから給料や報酬をもらっているか

・土地や株式の売買や、配当の受領

など、およそ経済取引と名のつくものは基本的にほとんど資料化される機会があると言って過言でない。

上記は「資料の内容」を列挙してみたが「内容」ではなく「情報源」で資料を区別してみると

・調査の際に収集する資料

・納税者に協力を依頼し、自主的に提出してもらう資料

・法定資料

・調査官が日常の生活などで耳にした情報や噂を資料化した探聞資料

・その他(投書など)

といった分け方ができる。

また、資料の「重要度」でも区別することができる

・通常の管理でOKの「一般資料」

・統括官等が管理する「重要資料」

・その他

 

などである。

イメージしにくいと思うので、具体的にこれらの種類を組み合わせてみると、、、

「調査の際に調査官が収集した売上に関する重要資料」があるとなると調査の確率は飛躍的に高まる。

非常に不適切な例えではあるが「確変」を起こす訳である。

これだけの資料があるのになぜ調査しないのか?といったニュアンスになる。

また、

土地の売買に関する法定資料(一般資料)があれば、それが即調査に結びつくものではないが、

利益に見合った資産の取得か、簿外ではないか、などが入念に検討される。

調査官は、1枚の資料を様々な角度から検証し「違和感」がある納税者を選定していくのである。

いつどこで、何が資料化されているかは「壁に耳有障子に目有」と考えるのが一番正しいと言える。

次回は「タレコミ」や「外観・内偵調査」を選定時にどう行うかを解説します。