『「金融機関から借入をどれだけできるか」という考え方は三流の経営と心掛けよ」
「経営とは借り入れることではなく、手元の経営資源の最大化を図ることであると心掛けよ」
「借入があるならば、役員報酬で1千万円を受け、かつ法人で1千万円税金を払うまでは
貧乏人であると心掛けよ」
先週と先々週のブログにも関連してくる内容でもあるが、今週はここを書き綴ってみたい。
借入の本質とは何か、
わかっている人にはわかるであろう。
それは、他ならぬ「利益の前借」である。
自分の描いたビジネスモデルを具体的な資料や根拠を基に金融機関に説明し、
金融機関は、そのビジネスモデルに資金を供給する。
これが、借入の基本である。
将来利益が出ることが前提であり、利益が出ないところには「貸せない」のである。
しかし、前回述べたように半値八掛二割引とまではいかずとも、
自分の想定が甘く、思ったような利益が出なかった場合、次の借入への第一歩が
始まる。
それは他ならぬ、「更なる利益の前借」である。
そうなると、思い通りに稼げるようになったとしても、負担は重くなる。
また、利益が出ているのに、スタッフに分配することができなくなる。
正味、負のスパイラルである。
また、昨今金融機関は昔の様にジャブジャブと資金を貸してくれない。
そうなるとやはり大切なのは、「手元の資金を減らさない経営」をするしかない。
ある程度順調に業績を伸ばし、金融機関は途中までは気前良く追加融資をしてくれた
としても、「与信枠」という壁がある。
まだ、貸してくれると思っていても、「金融機関の事情」で貸してくれなくなることもある。
だからこそ、「金融機関から借入をどれだけできるか」という他力本願的な資金調達思考では
経営はある日突然破綻する。
そして、もうひとつの罠が3つ目の「貧乏人と心がけよ」のくだりである。
組織のトップに立つとある一面達成感もあり、また、「社長」と他人が「持ち上げてくれる。
そこで、自分は「稼げている」や「成功者である」という錯覚を起こしてしまっては、
途端に企業は左前となってしまう。
ある程度の突き抜けた収益力と資金力を持たない限り、自分はまだ「貧乏人」である
と自覚することが、落とし穴に嵌らない大切な心がけである。
ほんの少し稼いだだけでは、世間の冷たい「突風」で瞬間的に全てが無くなる事も
現実的には枚挙に暇がない。
本当に成功したいのであれば、常に「まだ成功していない」の精神が肝である。
「おごれるれる者は久しからず」1000年以上前から廃れず伝わる名節である。
新たな起業家に出会ったら、これも精一杯伝えたい。
つづく。