さて、税務調査の思い出話もいよいよ大詰めである。
今回は調査の報告に関して触れたいと思う。
調査に着手し、修正申告書の提出があると、その報告を署長にする必要がある。
(正確には修正申告書しょうよう前に、署長へおうかがいをたてる報告書であるが。)
あくまでも、税務調査は署長の代理として各調査官が、実施しているからである。
もちろん真実が書き綴られていくのであるが、どうしても真実を書けない場合もある。
例えば、極めてグレーゾーン(見解の相違)を大幅に譲歩し、
修正申告書のしょうようを行った場合、その点について正確に記載してしまうと、
修正してもらわなければならないからだ。
 
 
タカ派の署長である場合は、
「こんな事実があるなら、調査やり直せ!!」とカミナリが落ちるのである。
 
しかし、苦労して調査をまとめあげ、納税者と無事合意したものを
今更「やり直せ」と言われても担当者としては、無茶な話である。
 
そうである、「真実が書けない」というのは、
事実を捻じ曲げて「不当に課税」をしたからではなく、
税務署が大幅に譲歩した場合に関係各位に納得してもらうための方便なのである。
 
何が言いたいかと言うと、よく現場で
「前回の調査で認めてもらった」と主張する納税者が多いが、認めた調査官は、
それを報告すると非常にマズいので、報告書に書かない、もしくは「流す」のである。
次回の調査で、前回譲歩してもらった場所に再度スポットライトが当たり、
首をかしげる納税者が多いのはそのためである。
「前の調査の記録にのってないの?」
「前に認めてもらった!」
と、様々な攻撃を受けることがあるが、
基本的に税務署としては認めたくないものであるため「認めた」という記録はない。
むしろ、「認めた」のではなく「見逃した」という構図となる。
調査を無事切り抜け、「お墨付き」をもらったと勘違いしては「大けが」のもとなのである。
どちらかというと、「次回調査までに是正すべき点」としてとらえておかないと次回調査で
とんでもないめにあう可能性もある。。。