今回は「機動官」について説明したいと思う。
機動官という名称が、そもそもわかりにくいものであるがおおざっぱに言ってしまうと、
ひとつの署に縛られず、ブロック単位で資料収集や、調査を行う仕事を主に行う調査官のことである。
経済活動としてはごく当たり前のことであるが、A法人はA税務署管轄であり、B法人(A法人の子会社)
はB税務署の管轄、H法人(A法人の子会社)はH税務署の管轄といった場合がある。
この場合はそれぞれの署が連携を取って動かなければ法律上、調査が出来ないケースがある。
また、複数の署で共同して調査した場合、複数の指揮系統下では、非常に動き辛く、また、
展開も鈍くなる。
そこで、A~H署全ての質問検査権を持った調査官の存在が必要となってくる。
それが「機動官」である。
機動官は税務職員の身分証明書はA署一枚だけであるが、質問検査証はA~H署分合計8署分
持っているといった広範囲の調査が可能な身分である。
国税局はその管轄内をブロック化し、各ブロックの中で一番大規模な署などに機動官を配置している。
機動官はそのブロック内の各税務署の数ある納税者の中から「広範囲かつ大口・高額もしくは悪質な納税者」
をピックアップし、優先的に調査するのが仕事である。
B税務署の管轄の納税者に、ある日突然「A税務署の○○と申します」と、まったく管轄外の税務署の
調査官が調査に来た場合は、このパターンが考えられる。
では、機動官のお手並みはいかがなものか??
一概には言えないが、
資料調査課>機動官>特別調査班
といった図式が当てはまる。
機動官は、ブロック内の各署の特調班と共同して動くが、
その事案の主担当者は機動官、副担当者は特別調査班といった形から見ても言えることである。
もちろん、機動官は資料調査課のOBや、マルサのOBもしくはそれらのタマゴで構成されており、
そのポテンシャルたるや、資料調査課と基本的に変わらない。。。
「調査にも色々」もいよいよ大詰め。
最後は、通常最も遭遇する確率が高いであろう、一般調査について説明してみたい。
一般調査とは、通常、税理士(委任をしている場合)もしくは納税者(委任をしていない場合)、に
「○月×日に調査におじゃまします」と事前通知があるのが一般的である。
もちろん、料調や、特調なども事前通知を行うことがあるので事前通知があったからといって
「一般調査」と決め込むことはできない。
ところで、一般調査は担当者がどんな担当者か?が非常に鍵を握っている。
というのは、一般調査を受けた際の調査の結果は担当者の人柄や力量によるところが非常に
大きいのである。
例えば、、、
【経歴】
・調査経験3年目の駆け出し「事務官」
・調査が解りだして来た、5年目の「調査官」
・特別調査班などを経験し、料調に行かず一般調査に戻った 上席調査官手前の、
「油の乗り切った調査官」
・調査経験年数10数年と調査の酸いも甘いも(!?)知っている上席調査官
・退官間際で、調査への情熱が過去のものとなってしまった上席調査官
など、経歴を大分すると上記の通りとなる。
また、
【調査官の性格や考え方】
・調査が嫌い(苦手)
・正義感が強く、使命感を持っている
・気が弱い
・アウトロー
などなど。。
ここまで書けばお判りでしょうか?
誤解を恐れず書いてしまうと、
一般調査は、かなりの比率で「担当者」のアタリ・ハズレが調査を左右するのである。
「油の乗り切った調査官」×「正義感が強い」
タイプが調査に来ると、、、
不正は絶対に許してもらえないが、ミスや見解の相違には非常に寛容である。
(しかし、不正はかなりの確率で見抜く。。)
「退官間際」×「調査が嫌い」
タイプが調査に来ると、少しの間違いを見つけて、いきなり「お土産」の話になる。。
あくまでも、例えばの話であるが、以上のような具体例となる。
ロシアンルーレットではないが、「前回」は軽く終わったのに「今回」は根こそぎ追徴をされた、、
なんてことが、あたりまえの様にあるのが「一般調査」である。
次回からよくご質問頂く、「調査の対象者」とはどうやって選ぶのかに触れてみたい。。