先週は税務調査にも色々と種類があることや、マルサについて説明を行ったが、マルサ以外の
調査とはどんなものか?を今週以降順次解説して行きたい。
まず、国税局の調査部であるが、 ここは資本金1億円以上の大法人の調査を主に行うセクションである。
中小企業とは少し縁のないセクションであるので ここでは説明を省略したい。
では、国税局の資料調査課とはどんなところか、、
文字通り、資料を基に「選定」と「調査」を行うセクションであるが、
その資料は「仮借名預金」の資料から「不正取引」に関する資料等調査対象が広範で中身の濃いものばかり
である。
一方、その中身の濃い資料を使う「調査官」が二流・三流では 資料も宝の持ち腐れとなってしまう。
そう、資料調査課の「実査官(調査官とは呼ばない)」は 各税務署から選りすぐられた「精鋭」の集まりである。
昔は、数百名の希望者から数名が選ばれたという超難関である。
この「実査官」のポテンシャルたるや、署の調査官とは比べ物に ならない。
資料の真贋を見抜く目 その資料を有効かつ最大限に活用する力量、調査のスピードやそのそつの無さ
どれをとっても一流・超一流である。
また、調査対象者の「選定」も並ではない。
数ある資料と、調査対象者から、より大きな「不正」が想定される事業者をピックアップし
事前に徹底的な下調べ(事前審理という)を行うのである。
その精度・中身たるや、これまた驚嘆に値し、想定不正額やその使途・プール先まで調査の前に全て
「絵」を描き終えているのである。
資料調査課と、任意調査で比肩するセクションは はっきりいってない。
万一、朝早くに「国税局資料調査課です」と 資料調査課が来た場合は、おとなしくその指示に従った方が
賢明かと私は思う。
続いて、税務署内にある特別調査班と機動官について
説明しようと思う。
特別調査班は、通常法人課税部門や個人課税部門などの賦課セクションの中の2部門に編成されている。
最近は、事前通知を行う場合も多いので、2部門の○○です、と「2部門」という単語を聞いた段階で
もしかすると、「特別調査班」(以後「特調班」)か?と警戒が必要である。
では、特別調査班とはどういうところか?
こちらは、端的に言ってしまうと「ミニ料調」といった言葉が当てはまる。
一般調査の部門と違って、特調班は、事前審理(=準備調査)を入念に実施し、調査着手前に、
・想定不正額
・その使途や留保先
・その他様々な情報
を事前に把握し、「不正」が想定されるので「事前通知」なしで調査に着手する。
次回、「機動官」というセクションを紹介するが、機動官や特調班が侮れないのは、前回説明した「料調」や
「マルサ」のOBがその中にチーフ格や次席で名を連ねているからである。
また、末席の調査官や、3席、4席の調査官は強いて言えば「料調」予備軍であり、署の中では選りすぐりの
精鋭で構成されているからである。
調査対象者の想定不正額や事業規模は料調よりは低くなるがポテンシャルや手法は料調と同一と
いっても過言ではない。
次回は「機動官編」です。