今回は、調査の際の資料についてお話したい。
調査終了間際に、調査官は必ず資料を収集する。
資料情報に関しては以前にも述べたとおり、様々な資料が存在するが、
それを活用する際にも色々な方法がある。
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唐突ではあるが、調査官は意地悪(?)である。
法定資料や探聞資料、重要資料など様々な資料が
調査対象者の資料としてファイリングされているが調査官は、
資料内容を一切明かさない。
情報は握っているが、あえて、知らないフリをして社長に、
あれこれと聞き取りを行うのである。
そのプロセスで、
把握している資料とヒアリング内容が異なる時
①資料自体の間違い
②社長が嘘をついている
以上のどちらかとなってくる。
②の場合、なぜ嘘をつくのかをその場でシミュレーションし仮説を立て、検証していく。
それが、調査である。
例えば、以前も触れたが、「愛人」にマンションを買い与えた場合、、、
調査官:「最近、法人・個人も含めて、不動産や車などの大きな買い物はされてませんか?」
社長 :「いえ、特にないですよ。」
この段階で、なぜ、社長はマンションの購入を隠す必要があるのか、と考えるのである。
最も、プライベートに関しては言いたくないという心理は理解できるのであるが、
あらぬ「嫌疑」をかけられないためには、調査官の質問には全て正確に答えることが、
最良の策である。
いくら鎌をかけても、
言いにくいことも含めて全て正直に情報開示してくれる納税者の心証は
極めて良好ということは、言うまでもない。。。。
調査官も人の子である。
さて、調査終了時に、顧問税理士がいる場合は税理士が、
そうではない場合は、納税者自身が調査内容に関して、主張・陳述等の交渉を行う。
税理士も納税者も一番緊張感が高まる瞬間である。
売上除外や架空人件費などの、いわゆる黒い部分に関しては、
本来情状酌量の余地はない。
その行為を実行する中で、計上していなかった経費などがかろうじて認容される程度である。
他方、経費内容などのグレー部分に関しては大激論になる部分である。
・業務関連性があるかどうか
・支払先が申告していない場合は、本当に支払ったのか
・同族企業などの場合は、役員賞与に該当しないか
など、など枚挙に暇がない。。。
数百人の税理士や納税者と調査内容に関して議論して来たが、様々な経験をした。
・感極まって泣き出す場面
・激高し、デスクを叩く場面
・全く無反応で対応に苦慮する場面
・極めて論理的な話が展開する場面
「月夜の晩だけやないで」
と目が点になるような一言を発し帰って行く納税者も。。。
などなど、様々な記憶が走馬灯のように思い出される。
また、担当者とのみ折衝をする場合や、
統括官を交えての場合また、徴収担当と納税の段取りも踏まえた折衝であったりと、
バリエーションも豊かである。
では、無事調査が終了した場合、その経過は如何に記録され保存されるのか?
次回以降の調査の際の参考となる。
その記録に関しては次回に書き綴りたいと思う。。