調査対象者の選定はどうなっているのか。

これも巷では、様々な憶測あるいは噂が飛び交っている。

参考レベルであるが調査の選定の際に考慮されることを下記に列挙してみた

 

・同業者の中で、比較的規模の大きいところ(高額重視)

・前回調査で「不正」があったところ(悪質重視)

・税務署が持っている「資料」と合わないことが見受けられる(いわゆる「資料不突合」あり)

・重要資料がある

・いわゆる「タレコミ」や一定の「風評」がある

・外観調査や内偵調査を実施した結果、申告額に疑義がある

・好況業種

・地場産業として世間に「ブランド」が認められているところ

・その他脱税の確率が高い業種

 

例えば、各国税局の記者発表資料で毎年「平成○○事務年度における法人税の課税事績」と

いうものが発表されるが、「不正発見割合の高い10業種」の上位に常にランクインしている業種など

他にも色々あるが、基本ラインは以上である。

 

では、選定作業の具体例は?

 

まず、調査対象者の選定の流れであるが、、、

「マルサ」はあくまでも別格として、マルサ以外の選定作業のおおまかな流れを説明すると、

調査対象者選定作業は、あくまでも「署」単位で行われる。

では、「資料調査課」や「機動官」など、署という枠にとらわれないセクションはいつどういう形で選定するのか。

あるA署を具体例として説明すると、、、

事前準備としては、

A署の全納税者から、いずれかの調査選定要素に該当する納税者を全てピックアップし、

その資料などを全て一箇所に固めておく。

ここから選定作業以下の流れで始まる。

 

①まず、A署に国税局の「資料調査課」が「選定」に訪問する。

会議室に数日間篭り、様々な角度から選定を行い、「これは」と思われる納税者をピックアップし、

国税局に持ち帰る。

まず、一番大きな不正が想定される納税者は資料調査課が先取りするのである。

 

②次は、各ブロックに配置されている「機動官」や「総合調査担当」などが、A署に訪問し、「選定」を行い、

「これは」と思われる納税者をピックアップし、自署に持ち帰る。

 

③上記①及び②の「選定」が済んだ後、署の「特調班」が調査対象者を選定

 

④上記①~③の全ての作業が終わった中から、「一般調査」担当者が選定作業を行う

 

といった流れになる。

誤解を恐れず、わかりやすく例えると、「フィルター」のようなイメージを持って頂ければOKである。
 

フィルターの目が大きい方が、大口悪質の「対象者」だけを「選定」し、「フィルター」はそれ以外の納税者

をスルーさせてしまう。
 

そして「納税者」は機動官や特別調査班という次の「フィルター」にかけられる。

 
資料調査課   機動官  特調班   一般調査
←-+------+----+------+--→
網目(=金額)が大きい             網目(=金額)が小さい

 
 
あくまでイメージであるが、こういう流れで選定作業は流れていくのである。。

次回は、選定要素である「高額悪質」に関して詳細を解説します。

 

・・・つづく。