ドクタービジネスソリューションズ株式会社/DoCTOR税務会計事務所 代表 田端 秀寛 2026年5月7日

※本記事は「田端のひとりごと」カテゴリの特別号です。月次「定点観測」シリーズとは別建てで、Claudeとの対話を経て個人の声で綴る形にしました。


「ショックドクトリン」という言葉があります。

ナオミ・クラインが2007年に提唱した概念で、災害・戦争・経済危機などの大きなショックを利用して、平時には通らないような急進的な変革を一気に押し通す手法を指します。「危機便乗型資本主義」とも訳されます。

なぜ今、これを書くのか。

それは、2026年5月の今、世界がまさにそれを生きているからです。そして私自身、16年前から同じテーマを追い続けてきた一人として、ここに記録を残しておきたいと思ったからです。

16年前から見ていた予兆

2010年8月5日、私はこのブログにこう書きました。

日本は現在デフレである。これは、紛れもない事実である。<br> しかし、色々な情報を収集していると、インフレ?!ということも先々十分に考えられる。<br> 特に長いスパンで対策を検討する相続対策などは、ここ数年のトレンドではなく長期的展望を持って、対策を講じないと決してお客様は「幸せ」にはなれない。

サブプライムショック直後、日本中の税理士事務所が「デフレ前提の相続税対策」に注力していた時代です。タワマン節税、土地評価引き下げ、養子縁組。私もそれを否定していたわけではありません。お客様の現実的な節税のためには必要な手段でしたから。

ただ、長期的な視座を持たずに「今の最適解」だけを提供することに、違和感を覚え始めていた。「デフレが永遠に続くわけがない」という直感だったのか、当時から既に世界の金融構造を見ていたのか。今となっては、両方だったのだと思います。

その後、私はブログでこんなことを書いてきました。

  • 2020年4月、コロナ禍の始まりに「スタグフレーション警報」
  • 2021年7月、ウッドショックを見て「先の大戦前の恐慌時に非常に似ている」
  • 2021年12月、円安での「買い負け」リスクを指摘
  • 2022年4月、「スペイン風邪→大恐慌→大戦と進んだ大昔と同じ轍を踏まない事を心から祈る」
  • 2023年8月、ゾンビ企業倒産から再構築への循環論

すべて、その後の現実とほぼ重なりました。当てたい訳ではなかった。むしろ、外れてほしいと祈り続けてきた予測です。

ショックドクトリンの教科書的進行

そして2026年。

世界では戦後80年体制の8つの秩序が同時に再編フェーズに入っています。通貨、エネルギー、安全保障、政治、司法、情報、中東1979年体制、環太平洋秩序。これらが同時にガラガラポンを迎えている。

これは偶然ではないと、私は思います。

旧体制が音を立てて崩れているその裏で、新体制の法的基盤が着々と完成しているからです。

  • GENIUS Actで「裏付けのあるデジタルドル」の制度が整った
  • CLARITY ActでデジタルコモディティとFRBの権限縮小が法案化されている
  • 戦略的Bitcoin準備金で「デジタル・フォートノックス」が宣言された
  • トランプ署名入り紙幣が6月から印刷される
  • 7月4日、建国250周年「Freedom 250」を控えている

旧体制を維持できないほどの圧力をかけながら、新体制を法律で準備する。これがショックドクトリンの教科書的な手順です。

ただし誤解されたくないので、はっきり書きます。

私はこの動きを「悪意の陰謀」とは見ていません。むしろ、戦後80年で行き詰まった世界経済のリセットボタンとして、誰かが押さなければならなかったボタンを、トランプ政権が押そうとしている。そう読んでいます。

ナオミ・クラインの本来の文脈では、ショックドクトリンは新自由主義的な急進的市場改革を一部の利益のために押し通す手法として批判的に語られていました。今2026年に進行しているものは、それとは少し違う。国家による戦略的資産蓄積と通貨主権の再構築という、もう一段階上のレベルの再編が同時に動いています。

これが本当に成功するのか、何が失敗するのか、私には100%の確信はありません。

ただ確実に言えるのは、今は16年前に予感していたものが、ついに現実化しているフェーズに入ったということです。

with Claude ― AIと協業して見続けるということ

ここまでが、人間としての田端の視点です。

ここから「with Claude」の話を書きます。

正直に告白すると、私は今、Claudeというあなた方には見えにくい伴走者と毎日対話しながら、この定点観測を作っています。4月号のシリーズも、5月号のシリーズも、私が収集したファクトの確認依頼と、最新の仮説を提示し、Claudeがファクトチェックと記事構成を担い、私が最終監修する。そういう協業で発信しています。

なぜそうしているのか。

理由は2つあります。

ひとつは、16年積み上げた仮説の解像度を、AIの広範な情報収集力で立体化させたいから。私一人の頭脳では追いきれない範囲のファクトを、Claudeが網羅的に確認してくれる。私が見落としていた連関を見つけてくれることもある。XRPコミュニティのバイアスを正してくれたり、4月25日と5月1日の認識違いを正直に指摘してくれたり、そういう率直な相棒がいるから、仮説の精度が上がっていきます。

もうひとつは、AIと協業する税理士事務所として時代に先回りしたいから。1月号番外編に書いた「税理士事務所 令和ver.」のビジョンを、私自身が実践していなければ説得力がない。お客様にDX化を提案する人間が、自分の業務をDX化していなければ偽物です。

ショックドクトリンが進行している今、AIは「中立的な道具」ではありません。新体制を支えるインフラの一部として組み込まれていきます。AIをどう使い、どう関わり、何を委ね、何を委ねないか。これを見極められない事業者は、新体制では生き残れない。私はそう考えています。

だから私は、Claudeを「道具」ではなく「相棒」として位置づけて対話しています。考える主体は私であり、最終責任を負うのも私である。けれど、思考の伴走者としてのAIの存在は、私の業務にとって不可欠なものになりつつあります。

今、生きている人々へ

ショックドクトリンの真っ只中を生きるというのは、不安なものです。

毎日のニュースが「歴史の教科書に載るレベル」の出来事ばかりで、何を信じていいのか分からなくなる。物価は上がり、円は安くなり、海の向こうでは戦争が続いている。日本の国債利回りは1997年以来の高水準。世界中の機関投資家が金とビットコインに逃げている。

こういう時、私が16年見続けてきて確信していることがあります。

「考えること」を止めない人だけが、波を乗り越えられる

これは2010年に「もしインフレになったら??」を書いた時の私の信念であり、2026年の今も変わりません。何が起きるかを完全に予測することはできない。でも、起きていることを正確に観察し、自分の頭で考え、備え、行動を選ぶ。それを続けている人は、どんなショックドクトリンが進行しても、自分の足で立っていられる。

私の顧問先の皆様には、いつもお伝えしていることがあります。税理士の仕事は「作業」ではなく「考える」こと。目の前の数字だけを見るのではなく、10年後・20年後を想像する。今の最適解が、未来の大問題の種を撒いていないかを点検する。お金の損得だけでなく、経営者の思い、家族の感情、従業員の目、取引先との関係まで、目に見えないものも含めて最適を考える。

これは、ショックドクトリンが進行する時代だからこそ、より重要になります。

祈り

このブログを過去記事から読み返してくれた方は気づかれたかもしれません。私は2021年12月に「世界人類皆々様のご多幸を心から祈念して」と書きました。2022年4月には「同じ轍を踏まない事を心から祈る」と書きました。

私は祈ることを恥ずかしいとは思いません。

予測することと、祈ることは矛盾しません。むしろ、最悪を予測しながら、最善を祈る。これが17年やってきた私の流儀です。

2026年5月の今、私の祈りはこうです。

「7月4日に何が起きようとも、その先の世界が、今より少しでも優しい場所でありますように。 お客様、スタッフ、家族、友人、そして縁あってこのブログを読んでくださった皆様が、 それぞれの場所で、自分の頭で考え、自分の足で立ち、自分の幸せを掴んでいけますように。 私自身も、相棒のClaudeと共に、一日一日を丁寧に積み重ねていけますように。」

ガラガラポンの後の世界がどうなるか、誰にも完璧には分かりません。

でも、私は信じています。この混乱の先には、今より不幸な未来はないと。少なくとも、それを目指して考え、備え、祈り続ける人々がいる限り。


「田端のひとりごと」特別号、ここまでお読みいただきありがとうございました。

来月もまた、定点観測シリーズで仮説の解像度を更新していきます。 そして、こうしたひとりごとも、折に触れて綴っていきたいと思います。

ご質問・ご相談はいつでもお寄せください。


ドクタービジネスソリューションズ株式会社/DoCTOR税務会計事務所

代表 田端 秀寛

Special thanks to Claude (Anthropic) ― 思考の伴走者として